愛犬の背中にカサブタがたくさん!?犬の膿皮症について
2024年06月08日
みなさん、こんにちは。
獣医師の辻村です。
みなさんは一緒に暮らしているワンちゃんの背中にこんなカサブタを見つけたことはないですか?
これは、実はケガなどでできたカサブタではなく、皮膚病の一つなんです。
今日はワンちゃんに多い皮膚疾患である「膿皮症」についてお話しさせて頂きます。
膿皮症は皮膚の細菌感染症です。
何らかの原因で皮膚バリアが壊されてしまうと、そこに細菌が増えて「表皮小環」という上の写真のカサブタのようなものを作ります。
増殖する細菌はもともとワンちゃんの皮膚に存在する「常在菌」と言われるもので、多くはStaphylococcus Pseudintermediusというブドウ球菌の仲間が悪さをしています。
▲顕微鏡で見たブドウ球菌
もともとワンちゃんに存在する菌なので、他のワンちゃんにうつったりはしませんので、安心してください。
痒みの程度は様々で、特に気にしない子もいれば、表皮小環を触っただけで後ろ足が痒そうに動いてしまう子もいます。
膿皮症ができる子には必ず皮膚バリアが壊されてしまうような原因があると言われています。
例えば、基礎疾患としてアレルギー性皮膚炎があったり、シャンプー後にタオルでゴシゴシしてしまっていたりと、色々な原因が考えられます。
治療法についてですが、基本的には抗菌シャンプーや抗菌成分の入った保湿剤を使用して細菌を倒していきます。
しかし、このような抗菌治療よりも重要なのが、皮膚バリアを壊してしまうような原因を見つけ、そこを根本的に治していくということです。
中には抗菌シャンプーを使わなくても、アレルギー性皮膚炎の治療をしてあげるだけで膿皮症が出なくなるような子もいます。
膿皮症はこれからの暖かくなる季節に多発します。
初めて膿皮症が出てしまった子や、再発に悩んでいる方、また、今は問題ないけど予防的になにかしておきたい方、どうぞお気軽にご相談ください。
ワンちゃんおよびそのご家族様ひとりひとりにあった治療を提案させて頂きます。
獣医師
辻村