犬と猫の救急 ガーデン動物病院

電話 072-440-0689

診療時間 9:00〜11:30 / 16:30〜18:30 休診日 火曜日

サイトメニューの表示

スタッフブログ

うぃっとの持病

2022年03月12日

お久しぶりです。

獣医師の髙田です。

以前にお話ししたことあるかと思いますが、僕は今、少し前まで供血犬として働いてくれていたラブラドール×ゴールデンのmixの『うぃっと』君を引き取り一緒に暮らしています。





まだそこそこ若いのですが少し早めに供血犬を引退しました。



その理由の一つとして、

『特発性てんかん』

の持病があります。



初めはなんの前触れもなく、院内でけいれん発作がありました。

たまたま看護師さんが近くにいたため、直ぐに気付きけいれん発作だと確認することができました。

お薬ですぐに落ち着くレベルであったのと、外の物音などによく吠える子なので、その時も過度に興奮したからかな、くらいで経過観察となっていました。



その後半年以上発作の兆候はありませんでしたが、また忘れた頃に発作が…

その後も頻繁ではありませんでしたが、だんだん発作の感覚が短くなってきたので、まずはストレスや興奮を考慮し投薬はせず、最初の発作から約1年後に病院から引き取り、髙田の家に家族として迎えることとなりました。





しばらくは発作もなく落ち着いていたので、やっぱストレス大きかったんかな〜とか考えていたのも束の間…自宅でも突然発作が起きてしまいました。

その際の発作が特徴的でした。



よくイメージしがちな発作は

⇨意識朦朧として、倒れて、手足をバタバタ…

というような、THE けいれん発作だと思いますが、

この時は

⇨急にバンと前に飛び出したかと思うと
 意識はあるけど急にぶるぶる震え出し
 涎がだらだら
 自分の意思と反し、うまく身体が動かせていないような様子でした。

(動物看護師のインスタにもその時のソワソワしたうぃっとの様子が載っているので確認してみて下さい)



2分程様子を見ましたが、今までも発作が何度か起きており、長引くと脳へのダメージも心配だったので直ぐにお薬を投与しました。

その後、落ち着きはしたのですが、今後も同じような状況が度々起こる事が考えられたので、病院スタッフや妻とも今後についてしっかり相談しました。

原因をはっきりさせ、できる治療があるなら早期に始めてあげよう!と皆が同じ気持ちでした。

すぐに、精査に進む事になりました。



血液検査等では全く異常のないうぃっと君でしたので、頭の中の異常(=脳)を疑い、2次診療施設でMRIを撮ってもらいました。

ある程度予想はしていましたが、診断結果は予想通り、

『特発性てんかん』

でした。

特発性てんかんは、MRI等の詳細な検査をしても特に異常がなく、はっきりとした原因が分からないタイプのてんかんです。

何が引き金かも正直分かりません。

なので、治療に関しては発作が頻繁に起きる子は、お薬やフードで極力発作を起きにくくしてあげるしかありません。



一応治療開始のタイミングはガイドライン上決まっており、特発性てんかんでは、

・半年の間に2回以上の発作が起きた

・5分以上発作が続いた

・1日に発作が複数回あった

・発作後兆候が重篤、長時間の場合

ほとんどの場合、このような状況になると治療を開始します。



うぃっと君は、治療開始の基準には入っていましたが、そこまで頻発するわけではありませんでしたので、2次診療施設の先生とも相談し、まずは特発性てんかんに良いとされているフードの給餌から始める事にしました。





明らかに発作の頻度は減り、この調子なら薬もいらないくらいでした。

*ちなみに、てんかん発作はゼロにするのは無理なので、『生活の質を維持し、半年に1回以下の発作頻度でコントロール』のいうのが一つの目標になります。



そこまで減らせなくても…

治療前と比べ、半分以下に減らす事が出来れば治療は成功と言えます。



うぃっと君は初め、フードだけでこの目標をクリア出来ていましたが、最近になって気圧の変化が大きい時や、過度の興奮時に発作が起きるようになってきてしまいました。

治療の強度を上げるには、けいれんを起こりにくくしてあげるための、『抗けいれん薬』の内服開始しかありませんでした。

投薬を嫌がるうぃっと君に内服を毎日決まったタイミングで投与するのは大変ですし、できればフードのみでコントロールできるのが理想でしたが、なにより、発作の度にしんどそうなうぃっと君の事が最優先なので、妻とも協力し抗けいれん薬の内服を開始しました。

内服開始後はまだけいれんは見られておらず、治療効果アリと判断しています。

今後さらに発作が増えてきた場合は、何種類もお薬を組み合わせなければならなくなるので、このままなんとか安定していてほしいと願うばかりです。

日頃からおっちょこちょいで、おとぼけ気味の変わった子なので、溝に片足はまったり、寝てる時にピクピクしたり、夢の中で急に走ったり、口をムキムキしたり…僕が何か食べてたら知らない間に横で涎まみれになっていたり、日々発作の兆候かとヒヤヒヤさせられています笑(全部違います笑)





皆さんも、

これ発作かも!?

と、びっくりする事が今後あるかもしれません。

発作は前にも書いたように、

わかりやすいけいれんのタイプ

うぃっと君のように分かりにくいタイプ

様々な症状が出ます。



わかりにくいタイプには、空中にいるハエを噛むような行動や、顔の片側だけピクピクしたり、涎だけが出てきたり、本当に様々な症状があります。

その時の診断でかなり重要になってくるのが飼い主様からの動画です。

発作と思って動画を見たら首が痛い症状だったことなんかもあります。

それくらい大事です。

急に自分の大事な家族の様子が変わるととてもビックリしてしまうし、本当に可哀想だし、怖いと感じると思います。

ですが、ほとんどの初めて起こるてんかん発作は1分以内に落ち着きます。

長くても2分程です。

その間は正直お家でしてあげれる事はありません。

発作が起きたら直ぐに病院に来ていただくことになると思います。



その時に少しでも早く診断に繋げてあげるために、発作が起き、ワンちゃん達が頑張っている来院前の1〜2分は、ワンちゃんが頭を打たないようにしてあげつつ、飼い主様もグッとこらえ、与えられた時間の中でできる限り数十秒で良いので動画撮影をしていただけたらと思います。



長くなりましたが、僕の家族うぃっと君の持病の特発性てんかんに絡めて色々お話しさせてもらいました。

そういえば気になる症状ある!

という方は気軽に相談して下さいね(^^)





獣医師
髙田

ブログ一覧

最近の記事(10件)

過去記事アーカイブ