症例紹介『椎間板ヘルニア』
2021年10月16日
お久しぶりです。
獣医師の山本です。
今日は『椎間板ヘルニア』について紹介します。
椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板物質が脊髄に飛び出ることで発症します。
ミニチュアダックスフンドがなりやすい病気として有名ですが、様々な犬種で起きうる疾患です。
今回は特に腰の椎間板ヘルニアについてお話しします。
腰の椎間板ヘルニアの主な症状は『背中の痛み』ですが、進行すると足の麻痺が出たり、痛覚が麻痺したりと急激に進行することもあります。
・動きたがらず、じっとしている
・抱っこしたらキャンと鳴く
・どこか痛がる
・いきなり後ろ足が立たない
といった主訴で来院される患者さんが多いです。
腰の椎間板ヘルニアでは重症度によって治療法が選択されます。
大まかに分けると以下のようなります。
①痛みのみがある(歩くことは問題ない)
②歩けるが足の麻痺がある(ふらつく)
③立てない
④立てないし、痛みも感じない
①、②であれば、内科療法が選択されることが多く、具体的には消炎鎮痛剤(NSAIDs)としばらく安静にすることで良くなることが多いです。
しかし、③以降では内科療法の反応が悪く、手術が必要なことが多いとされています。
椎間板ヘルニアの診断にはCT検査やMRI検査といった精密検査が必要です。
ただし、レントゲンでもおおよその位置がわかる場合があります。
写真のように椎体の間が狭くなっているところは、そこにあるクッションの役割をした椎間板物質が脊髄に飛び出しているサインであることが多いです。
当院では椎間板ヘルニアの手術を行う際は手術部位の特定を目的にCT検査や脊髄造影CTを行います。
脊髄造影検査とは脊髄の周りに白く見える造影剤を注入し、飛び出した椎間板物質をわかりやすくする検査です。
通常の部位では脊髄の周りにリング状の造影が写りますが、椎間板物質が飛び出した部位はリングが欠けたように見えます。
このように病変部位を特定しオペを行います。
オペ後は10日ほど入院し、抜糸までの間安静とリハビリを行います。
その後もリハビリが必要なことが多いため、定期的に診察が必要です。
およそ1-2ヶ月で全く問題なく歩行できる子が多いです。
・動きたがらず、じっとしている
・抱っこしたらキャンと鳴く
・どこか痛がる
・いきなり後ろ足が立たない
といった症状があれば、是非とも診察にて相談ください!
獣医師
山本