歯の手入れについて(前編)
2021年03月06日
こんにちは、獣医師の金田(かなた)です。
皆様、おうちのワンちゃん、ニャンコちゃんの歯磨きなどの歯の手入れ(デンタルケア)ってされていますか?
シャンプーやトリミング、爪切りなどはこまめに行っていても、歯磨きってあまりされていないのではないでしょうか?
実は歯磨きは、歯周病を防ぐにはとても大事なことなんです。
ヒトでは成人の約80%が歯周病を患っていると言われていますが、動物では、3歳以上の犬の80%、猫の70%が何らかの歯周病を患っていると報告されています。
ヒトよりも若いうちから多くの動物が歯周病に侵されていることがご理解いただけると思います。
色々な原因が考えられますが、ヒトの場合は、学校や歯医者さんでの定期健診をされている方が多いですが、ワンちゃんやニャンコちゃんでは定期的な歯科健診をされていない子が多いことや、その他にも歯石の付き具合の差やデンタルケアの差が考えられます。
ではまず、実際、歯石とはどうやってできるかからお話します。
食事をして数時間で歯垢が歯の表面に付着し、それを放っておくと歯垢が硬くなり歯石へと変化します。
このでき方はヒトと動物で同じではありますが、歯垢から歯石に変化する速度が、ヒトでは約20日、ワンちゃんでは2~3日と言われていますので、圧倒的に歯石が溜まりやすいと言えます。
また、歯石が一度溜まってしまうと、その上にさらに歯垢が付きやすくなります。
また、デンタルケアに関してですが、ヒトではどれだけズボラな人でも最低1日1回は歯磨きをされていると思います。
また、多種多様な歯ブラシ(電動歯ブラシ含め)や歯磨き粉が薬局などで売られており、その他、マウスウオッシュや歯間ブラシ、糸ようじなど色々なデンタルケアグッズもあり、それらのうちから自分に合ったもの・方法を実践されている方が多いと思いますし、小さいお子様以外はご自身の歯周病対策として実践されているのではないでしょうか。
しかし、ワンちゃん・ニャンコちゃんは自分でデンタルケアができないため飼い主様がしてあげないといけないのですが嫌がることが多く、正しいデンタルケアの方法もあまり知られていないのが現実です。
そのため、あまりデンタルケアが実施されていないのだと思います。
実際、歯周病になるとどうなるかというと、まずは口が臭くなります。(勿論その他の原因でも口が臭くなることはありますが)
さらに歯周病が進行すると、歯の根元や顎の骨が解けることにより歯がぐらついたり、鼻水や鼻血が出てきたり、中には眼の下が腫れ、そこから膿が出てきてしまうこともしばしばです。
このような状態がヒトで起こった場合は水を飲んでもしみますし、食事をとることも困難になりますが、ワンちゃん・ニャンコちゃんでは結構普通に食べていることが多いため、飼い主様が気付かないことも多いです。
また、歯周病が原因の心臓病や皮膚病なども報告されています。
可能であれば一度おうちにいるワンちゃん・ニャンコちゃんの口の中を見てみて下さい。
もし、歯茎が赤くなっていたり、白い歯の正面に茶色い塊があるようなら歯周病の始まりです。
また、口まわりを触ったり、口を開けることを痛がることも歯周病が原因のこともありますので、一度診察に来ていただいた方がいいと思います。
「芸能人は歯が命!」というヒトの歯磨き粉のCMが20年以上前にありましたが、ワンちゃん・ニャンコちゃんも同じく歯は大事です。
話が長くなってしまいましたので、ワンちゃん・ニャンコちゃんが歯周病になってしまったらどうしないといけないか、歯周病にならないためにはどういったデンタルケアをすればよいかに関しては次回のブログの際に書かせていただきたいと思いますので、それまでお待ち下さい。
もしそれまで待てないという方がいらっしゃいましたら、診察の際にお声がけ下さればお答えさせていただきますので、気兼ねなくおっしゃって下さい。
獣医師
金田