手や足を挙げている、骨折
2020年01月25日
お久しぶりです。
獣医師の髙田拓志(たかたひろし)です。
今回は、最近意外と多い骨折について、お話ししようと思います。
通常の診察や夜間でもよく見かけるのが、
「足を挙げている」
「びっこを引いている」
といった症状です。
お話を聞いてみると、その原因も様々で、
「落としてしまった」
「蹴飛ばしてしまった」
「走り回っていたら急に」
挙げ出したらキリがないですが、 ほとんどが大きな力が加わる事によっての症状です。
わんちゃんもねこちゃんもヒトと比べると、骨格的にかなり小さい生き物なので、普通に運動していてもケガしてしまうのは想像し易いですよね。
そんなわんちゃん達の検査をしてみると、幸い、骨も折れておらず、少し筋肉等を痛めてしまっただけの子もいれば、骨折や脱臼、靭帯断裂等の大きなケガをしてしまっている子もいます。
中でも1位、2位を争う大怪我である骨折。
ワンちゃん達の痛みも半端じゃないです。
キャンキャン鳴いたり、完全に足を接地できなくなる子がほとんどです。
たまーに、とても痛みに強い猫ちゃんは、骨が折れているのに普通に足を着いて歩いたりする事もあります!
でもそれは本当にレアケースです。
歩いていても痛いのは痛いはずです。
そして、ヒトの印象と大きく変わってくるのが治療法かなと僕は感じています。
ヒトの場合は、よっぽどひどい骨折でない限り、ギプスで治すことが多いですよね。
わんちゃん、ねこちゃん達は、ギプスで治すことの方が少ないです。
ではどうやって治すのか…
骨がほとんどズレていなければギプスでOKですが、大抵の場合はプレート固定などの手術が必要です。
わんちゃん、ねこちゃんたちは僕たちヒトと違い、重要な治療方法の1つである「安静」を自ら意識して実施することができません。
その為、ギプス固定のみでは、
・強度が不十分
・骨のズレにも対応出来ない
等のデメリットが大きくなってしまいます。
そこで、強度や安定性をもたらすために用いられるのが、プレートやスクリュー、ワイヤーやピンといったインプラント達です。
インプラントを使用することで、骨を正確な位置に戻し、なおかつ強力な固定を得ることができます。
また、インプラントに関しての質問で多いものが、
「骨が治ったらインプラントは取り出さなくてもいいのか。」
これに関しての答えは、使ったインプラントや、骨折の種類などによって変わってきます。
ヒトに比べると寿命の短いわんちゃん達は、インプラントを抜去しなくて済むことが多いですが、インプラントの破綻や、固定強度が十分すぎて骨が痩せてしまうケース、感染等が起こってしまうと、再手術によりインプラントの抜去が必要になる事があります。
その見極めの為にも、完治したかの判断のためにも、定期的な再診、レントゲン撮影は重要になります!
経過観察となるまでは、だいたい3ヶ月から半年は必要になるので、期間が開いてしまうとついつい忘れがちになる再診ですが、注意しないとですね(^^)
骨折治療に関してのお話はざっとこんな感じです。
僕自身、実習セミナー等に出てスキルアップできるよう日々勉強中です!
学生時代はずっとバスケットボールをしてきたので、骨折や、捻挫などの整形外科にかかるケガは付き物でした。
なので、それに伴うひどい痛みは、話すことのできないわんちゃん、猫ちゃん達のことでも、想像する事ができます。
ちょっとでも、痛そう、歩き方がおかしい、キャンと鳴く、手足を挙げている等々、この様な症状が見られた場合はすぐにご相談下さい(^^)
獣医師
高田