犬と猫の救急 ガーデン動物病院

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スタッフブログ

後肢の痛み、前十字靭帯損傷

2019年07月06日

お久しぶりです。

獣医師の髙田拓志(たかたひろし)です。

2020 東京オリンピックのチケット、みなさん当たりましたか?

僕は念願のバスケットボールの観戦チケットが2試合分当たりました!

(さすがに決勝戦は高すぎて手が出せませんでしたが)

そんな楽しいスポーツにはケガが付き物ですが、ワンちゃん、ネコちゃんも我々人間と同じように手や足を痛めてしまう事があります。

様々な整形外科疾患の中で今回は意外と多い前十字靭帯損傷のお話をさせてもらいます。



前十字靭帯は、大腿骨(太モモの骨)と脛骨(スネの骨)を繋いでいる靱帯です。

この靱帯は、

・大腿骨に対して脛骨が前に飛び出さないようにする

・脛骨が内側に捻れないようにする

・膝が伸展しすぎないようにする

などの役割があります。



前十字靱帯が何かの拍子に完全or部分的に切れてしまうと、、、



もちろん痛いです!



次いでびっこを引いたり、足を完全に上げてしまったりといった症状も見られます。



人ではフィギュアスケートの高橋大輔選手や、柔道の野村選手がこの靱帯を断裂した事でも有名ですよね。



ワンちゃんたちの場合は、人の様に激しい運動や過度な力がかかった時に切れてしまう急性断裂の他に、

加齢による靭帯の劣化

肥満や関節症、骨格異常による靱帯への慢性的な負担

免疫やホルモンの異常といった全身性の病気による靱帯の変性

などの原因により、部分的もしくは完全に断裂してしまう慢性断裂があります。



ということは、、、



中でも運動量が多く若くて活発な時期のワンちゃんたちや、お年寄り、ぽっちゃりなワンちゃんたちも要注意ですね!

また、膝のお皿が生まれつき内側に外れやすい小型のワンちゃんたち(チワワやトイプードル、ポメラニアンなど)は、スネの骨が内側に捻れやすい為に、過剰に捻れてしまうと同時に前十字靱帯も切れてしまう事がわかっています。







お皿の脱臼のみで痛みを伴うことは少ないですが、この様に前十字靭帯まで切れてしまう可能性があるため注意が必要ですね。

前十字靭帯が切れると膝関節内でクッションの役割を担ってくれている半月板の損傷も同時によく見られます。

損傷してしまうとびっこがひどくなるなど受傷後の経過に大きく関わってきます。



前十字靱帯が切れてしまうと以下のような症状が見られるため、当てはまる症状がある場合は早めの受診をオススメします。

・運動中に急にキャンと鳴いて後ろ足を上げていたり、びっこを引いている

・膝を触ると腫れており、なんだか痛そう

・靱帯が切れた足に体重をかけずに立っている

・お座りをすると膝を曲げれずお姉さん座りやあぐらをかいた様な座り方になってしまう

・歩行時、後肢を完全に挙上していたり体重をかけ難そうにしている

・朝起きた時や、動作の初めにびっこが見られる

・両方の靱帯が切れてしまった場合は、腰が抜けたような状態になる



体重の軽いワンちゃんたちでは、2-3日でびっこが消えることも少なくありません。

しかし、靱帯が切れた状態で無治療のまま放置しておくと、正常な機能を保てていない膝の関節内の変性、関節炎などにより、見えないところで膝の状態はどんどん悪化していってしまいます。

最悪の場合は膝関節の寿命が早期に来てしまい、歩けない、寝たきりで介護が必要な生活になってしまうケースもあります。

また、前十字靱帯を断裂後は高確率で反対側の靱帯も切れてしまう事がわかっています。

この様な状態になってしまうことを防ぐためには、早期の治療が必要です。



治療をしたからと言って膝の状態が100%元通りになるわけではないですが、もの凄いスピードで進む膝関節の変性を遅らせてあげることが可能になり、生涯しっかりと後ろ足を使って歩くことができるようになります。







来院された際の大まかな流れは、、、

まずは歩き方の確認や触診、レントゲン、エコーなどにて診断をしていきます。

緊張で力がガチガチに入っているワンちゃんたちは、その状態では精度の高い検査が困難なことが多いため、軽い鎮静等をかけさせていただき、リラックスした状態での検査を実施させていただくことがあります。

そこで確定診断が可能な場合は、内科治療で様子を見ていくのか、後日手術を実施するのかといった相談に移らせていただきます。



さらに確定診断にはもう少し精査が必要と判断した場合は、2次診療施設等での関節鏡検査等を提案させていただき、その後治療へ進んでいただきます。



基本的に前十字靭帯の断裂には外科治療が必要ですが、軽傷な場合や体重が軽い子には内科治療を選択するケースもあります。

内科治療のメインは「減量」と「鎮痛」、「運動制限」です。

痛みのコントロールを実施しながら、体重により肢にかかる負担を少しでも減らし、安静を続けることで、長い目で見て靱帯断裂により不安定になった膝の安定化を図ります。



しかし内科治療でコントロールが難しい場合は外科治療が必要になります。

外科治療には、人工靱帯で関節の動きを制御する方法や関節が安定する形状に骨を切る方法などがあります。

現状当院ではどの方法を選択するにせよ、手術設備が整っている提携病院での手術を実施させていただいています。

もしくは整形外科専門医を紹介させていただくケースもあります。



いずれは当院でそのまま手術を実施できる環境作りが理想ですが、もう少しだけ先になりそうです(^^)



手術後は痛み等で足を使ってくれず、筋肉が固まうケースも少なくありません。

放置しておくと足を上げっぱなしになってしまったり、関節の可動域が狭くなってしまいます。

それらの予防として手術後はリハビリを継続して行くことになります。

おうちでも簡単に出来るようなリハビリを提供できたらなと思っております。



長くなりましたが、日頃から可愛い家族であるワンちゃんたちの様子を見ておられる飼い主様なら、少しの歩き方の変化にも気付くことができるはずです。

異変に気付いた時はご来院さえしていただければ、あとは僕が責任をもって診断、治療のプランまでしっかりと立てさせていただきます。



最後に、前述しましたが、

・ぽっちゃり体型

・膝のお皿が外れやすい

・反対側の前十字靭帯を切ったことがある

・激しい運動大好き!!

などなど、、、

当てはまるワンちゃんたちは注意が必要ですよ!!!



愛犬のサクラもおてんばな上に、すぐに体型がぽっちゃりしてしまうので日々ヒヤヒヤしています笑







獣医師
髙田