猫の心臓病
2019年06月08日
こんにちは。
獣医師の因野です。
最近はねこブームで、ねこちゃんを飼っている方が増えました。
当院もねこちゃんを飼っているスタッフも多いです。
わんちゃんとねこちゃんは同じように見えて、違う動物です。
今回はねこちゃんの心臓病について少しご紹介します。
ねこちゃんで多い心臓病は、肥大型心筋症(ひだいがたしんきんしょう)という心臓の壁が分厚くなることで、全身に血液を送りにくくなる病気です。
この病気の厄介なところは、聴診器で心音を聞いても異常な音でなく発見できないことが多いことです。
わんちゃんの場合は僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)という、弁が正常に閉じずに逆流を生じてしまう病気が多く、心音を聞くと異常な雑音が聞こえるので発見しやすいです。
症状は、軽度であれば無症状か少し元気がない程度です。
でも重度になると肺水腫(肺に水がたまる状態)や胸水(胸腔に水がたまる状態)となり、咳が出たり呼吸困難が起こったりすることがあります。
そして、心臓の中での血流が悪くなり血栓(血の塊)ができ、それが血管に乗って全身に流れ、流れた先の血管につまることがあります。
つまる部位により症状は異なりますが、大動脈血栓塞栓症(だいどうみゃくけっせんそくせんしょう)という後肢に行く血管に詰まる病気になることもあります。
急に後肢に血液が流れなくなるため、後肢の麻痺や疼痛といった症状がみられます。
この病気はほぼ亡くなってしまう怖い病気です。
症状が軽い間に治療を始めると、お薬により重症化せずに管理できることも多いです。
でも、ねこちゃんは病院嫌いな子も多く、検査をすることが難しい子もいます。
その上、心臓の音を聞いても正常なことが多いので発見できにくい病気です。
自宅でも様子を観察することで、病気の発見につながることもあります。
例えば、
・あまりキャットタワーに登らなくなった
・遊んでいてもすぐに疲れるようになった
・前よりも呼吸が早くなった
という症状です。
なんか疲れやすくなったと感じる時、それは心臓病が原因かもしれません。
気になる症状がある場合は気軽にご相談ください。
猫の心臓病は聴診器で音を聞いても正常な事が多く、発見が遅れてしまうことがあります。
性格により実施が困難な場合もありますが、健康診断として心臓のエコー検査をしてみてはどうでしょうか。
当院では夏に画像健診を実施しています。
この機会に一度心臓の検査をしてみましょう。
事前に電話での予約が必要となります。
画像健診について詳しくはこちらもご覧ください。
>>画像健診キャンペーン
獣医師
因野