救急のサイン⑥ お腹が張っている、吐こうとするけど吐けない
2018年02月01日
院長の水越です。今回は、胃捻転・胃拡張について書きます。
胃拡張とは胃がガスでパンパンに膨らんだ状態。
胃捻転は、パンパンに膨らんで、さらに胃がねじれた状態。
多くの場合は、食後に運動をしている時に起こります。
大型犬に良く起こります。
小型犬ではダックスに良く起こり、稀にシーズーでも起こります。
胃拡張の治療は、胃のガスを抜くことです。
ガスを抜く方法ですが、全身麻酔をかけて、口からホースのようなチューブを入れます。
チューブが胃まで入ると、ガスが抜けます。
ガスを抜いた後、再発防止のために、胃洗浄を行います。
胃洗浄とは、チューブで胃に水を入れて抜いてを、繰り返すことです。
これで、胃に残った食べ物を、水と一緒に外に出します。
胃捻転の場合は、多くの場合、チューブが入りません。
胃のねじれを元に戻さなければなりません。
開腹手術によって、ねじれを元に戻します。
さらに、ねじれが再発しないように、胃の一部とお腹の壁を縫い付けます。
胃のねじれている部分に大きなダメージを受け、その部分の切除が必要なこともあります。
胃捻転では、胃のねじれによって、大きな血管も折れ曲がり、血の巡りが悪くなることがあります。
重度の胃拡張の時にも起こります。
いわゆる「ショック状態」です。
正確には「閉塞性ショック」です。
*ショックについては以前の記事を参考にしてください
→こちらです。
ショック状態は、非常に危険な状態です。
上記の処置と並行して、大量に輸液が必要になります。
麻酔をかけて、チューブを口から入れる処置をするのに、時間的な余裕がない場合があります。
その時は、お腹に針を刺して、胃のガスを抜くこともあります。
胃拡張、胃捻転は、死亡率が高く、すぐに受診が必要な状態です。
ポイントを整理します。
①起こりやすい犬種
・大型犬(特に胸の深い犬) ・小型犬では高齢のダックス(稀にシーズー)
②どういう状況で起こるか?
・食後(特に食後に運動したら)
③症状は?
・急にお腹がパンパンに張って、固くなる ・そのため元気がなくなる ・吐こうとするが、何も出ない
④死亡率が高い危険な状態である
⑤緊急受診が必要な症状である
⑥麻酔が必要な処置を実施する(胃捻転の場合は開腹手術)
以上です。
お腹が張っている、吐こうとするけど吐けない、という症状が見られたら、落ち着いてまずはお電話ください。
院長 水越健之
ガーデン動物病院
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