症例紹介

INDEX

血液の病気

赤芽球癆(セキガキュウロウ)

赤芽球癆(セキガキュウロウ)のワンちゃんの治療報告です。

8才のミニチュアダックスフンドの女の子(避妊手術済み)がひどい貧血のため来院されました。血液検査を実施したところ、非常に重い貧血があり、新しい赤血球が十分に作られていませんでした。命に関わるほど深刻な貧血のため、内服薬での治療と同時に輸血を繰り返し行いました。これらの治療を行っても貧血が完全には良くならなかったため、赤血球の破壊に関係がある脾臓の摘出手術を行い、同時に原因追及の検査として骨髄の検査を行いました。この骨髄の検査結果から赤芽球癆(セキガキュウロウ)と診断しました。脾臓を摘出してからゆっくりと貧血が改善し、現在では落ち着いており、元気に過ごしています。

赤芽球癆(セキガキュウロウ)とは赤血球が作られてすぐに何らかの原因(自分自身の免疫システムが異常をきたし、骨髄の中の赤血球を破壊する事が一般的です)で壊され、重い貧血を起こす病気です。治療には免疫抑制剤(免疫システムの異常を抑える薬)が有効です。治療には長い時間がかかる場合があるため、輸血が必要となる場合もあります。今回のケースでは脾臓を摘出した後に貧血が良くなってきたため、脾臓が赤血球の破壊に関係していた可能性があると考えています。

当院ではこのような血液の病気に力を入れて取り組んでおります。ひどい貧血がある、輸血について相談したいなど血液関連の事でお困りであれば当院までご連絡下さい。

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治療前の血液の写真です。新しく赤血球が十分につくられていません。

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骨髄の写真です。作られてすぐの若い赤血球がほとんど確認できません。

腫瘍

喉頭・気管の腫瘍

呼吸困難の状態で夜間時間外診療を受診された13歳ビーグルちゃんの治療報告です。

受診までの経過は、2012年の夏ごろから声が出にくく2013年の1月頃から興奮すると泡を吹いて倒れるようになったというものでした。初診時に各種検査を実施したところ肺水腫(肺に水がしみ出て呼吸が苦しくなる状態)が認められたため、肺水腫に対する治療を行ないましたが呼吸困難の改善は見られませんでした。また、このころには発声障害も認められていました。そこで、麻酔をかけて喉の奥まで検査を行なうと、喉(喉頭)のすぐ奥の気管内に空気の通り道を塞ぐように腫瘍が存在するのが確認されました。

早急に気管を塞いでいた腫瘍を手術にて取り除いたところ、手術後速やかに肺水腫の症状は改善されました。

このように喉や気管に腫瘍が出来た場合、発声障害(あるいは声の変化)、呼吸困難、咳、よだれが多くなるなどの症状が見られることがあります。このような症状でお悩みの方は一度当院までご相談ください。

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気管を切開すると内側に腫瘍が認められました。

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腫瘍を取り除き空気の通り道を確保しました。

皮膚病

現在コンテンツを準備中です。

消化器、肝臓の病気

胆嚢破裂(タンノウハレツ)

胆嚢破裂(タンノウハレツ)のワンちゃんの治療報告です。

9才のミニチュアダックスフンドの女の子が夜からお腹が張ってきてしんどそうとの事で、当院の夜間救急を受診されました。血液検査を実施したところ、肝臓の数値が高く、黄疸が確認されました。腹部超音波検査では本来確認出来るはずの胆嚢が見つからず、またお腹の中に液体が貯まっている事が解りました。注射器でお腹の水を抜いて検査した所、胆汁(タンジュウ:胆嚢に貯まっている液体)がお腹の中に漏れている可能性が高いと思われた為、胆嚢が破裂していると判断し緊急手術を実施しました。お腹を開けるとやはり胆嚢が破れており、胆汁がお腹の中に大量に漏れ出ていました。破れた胆嚢を丁寧に取り去り、お腹の中を綺麗に洗浄して手術を終了しました。手術後からゆっくりと黄疸も改善し、現在では薬の治療で大きな悪化も無く元気に過ごしています。

通常、胆汁は胆嚢の中に蓄えられており、総胆管(ソウタンカン)と呼ばれる管を通って腸に運ばれます。その胆嚢に炎症や胆石、その他の様々な理由が起こると、総胆管が詰まって胆汁が腸に流れなくなってしまう事があります。こうなると出口が無くなった胆汁はどんどん胆嚢の中に貯まってしまい、最終的に胆嚢が破裂してしまいます。

当院では、このような緊急性の高い病気にも緊急手術が出来る体制を整えております。急に具合が悪くなった、事故に合ってしまったなど、お困りであれば当院までご連絡下さい。

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治療前の腹部超音波検査の写真です。肝臓と一緒に本来確認出来るはずの胆嚢が見当たりません。

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胆嚢を摘出した後の肝臓の様子です。

循環器、呼吸器の病気

僧帽弁閉鎖不全症(ソウボウベンヘイサフゼンショウ)

12才のシーズーの女の子が1〜2ヶ月前より咳をしているとのことで来院されました。

聴診により心雑音を確認できたので、レントゲン検査とエコー検査を実施しました。レントゲン検査からは心臓が丸くなっていること、エコー検査からは僧帽弁(左の心房と心室を分ける弁)の逆流があることが分かりました。心臓の負担を軽減する薬を飲むことで咳は治まりました。

今は薬を飲み続けることで悪化せず元気に過ごしています。

僧帽弁閉鎖不全症は高齢の小型のわんちゃんで多くみられる病気です。咳が続いていたり、呼吸があらいなどの症状がみられます。治療が遅れて酷くなると、肺に水が溜まり、呼吸困難や最悪の場合は死亡することもあります。このような症状がある場合は、早めに一度当院までご相談ください

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心臓が大きくなっているため、丸く見えています。

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LA:左心房 LV:左心室

左の心房と心室を分ける弁が完全に閉鎖していないため、逆流がモザイク状(いろいろな色が混じること)にみえています。

泌尿器、生殖器の病気

子宮蓄膿症(シキュウチクノウショウ)

子宮蓄膿症(シキュウチクノウショウ)のわんちゃんの治療報告です。

7歳のアメリカン・コッカー・スパニエルの女の子が3日前から元気食欲が無く、下痢をしているとのことで当院に来院されました。血液検査を行ったところ、白血球の数値の上昇、CRP(炎症マーカー)の上昇が確認されました。またお腹の超音波検査では内部に液体の溜まった子宮が膀胱付近にはっきりと確認されました。以上のことから子宮蓄膿症の可能性が高いと判断し、すぐに緊急手術を実施しました。お腹の中では子宮全体が膿で膨れ上がっていました。
子宮を卵巣と共に丁寧に取り去り、手術を終了しました。手術後からゆっくりと元気・食欲も以前のように回復し、現在は下痢も無く元気に過ごしています。

子宮蓄膿症とは細菌感染を起こして子宮内部に膿が溜まる病気です。
通常は5歳以上の避妊手術をしていない女の子に起こります。

初めは無症状なことが多いですが、悪化するにつれて元気・食欲の減退、嘔吐、下痢、多飲多尿(水をたくさん飲み、おしっこをたくさんする)などが見られます。
子宮が破れてお腹の中に膿が漏れ出た場合、腹膜炎を起こして死に至ることもあります。

治療法としては外科手術によって子宮と卵巣を切除するのが最も確実な方法です。

この病気は避妊手術を受けていれば予防が可能です。
このような病気を予防するため、当院では繁殖を望まない女の子には早めの避妊手術をお勧めしています。

また高齢になっても病気になってしまう前であれば予防が可能ですので、避妊手術をお考えの場合は当院まで遠慮なくご相談下さいませ。

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お腹の超音波検査で内部に液体の溜まった子宮が膀胱付近に確認出来ます。

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膿で膨れ上がった子宮です。

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尿石症〔ニョウセキショウ〕

尿石症(ニョウセキショウ)のわんちゃんの治療報告です。

7歳のミニチュア・シュナウザーの男の子が、何度も何度もトイレに行く、出る尿の量が少ないとのことで当院に来院されました。
超音波検査を行ったところ、膀胱内の結石、また尿管の拡張が確認されました。またレントゲン検査でも膀胱内および尿道内に多数の結石が多数確認されました。

以上のことから尿石症と判断し、結石摘出手術を実施しました。
結果、大小合わせて約30個程の結石が摘出されました。
結石分析をしたところ「シュウ酸カルシウム」という結石でした。

手術後から徐々に排尿状態は回復し、現在は症状も無く元気に過ごしています。

尿石症とは、腎臓や尿管、膀胱、尿道に結石が出来る病気のことです。
症状としては何回もトイレに行く、少しずつしか尿が出ない、尿の色が濃いまたは赤いなどが挙げられます。
症状が進行してしまうと尿道に結石が詰まって尿が全く出なくなります。そうなると、尿の毒素が体中に回り、元気が無くなってご飯を食べなくなったり、最悪の場合死んでしまうこともあります。
結石の種類によっては療法食で溶かすことができるため、食餌療法が必要になります。しかし、結石が大きくなってしまっている場合や溶かせない結石の場合は手術でないと取り出せないこともあります。今回の「シュウ酸カルシウム」も食餌療法では溶かせない結石でした。

尿の様子、色、回数などでいつもと違うなと感じたら、まずは尿検査をお勧めします。もしかしたら病気のサインかもしれません。
尿は持ってきていただくだけでも検査は出来ますので、お気軽に当院までご相談下さい。

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レントゲン画像です。
膀胱内に白く写る結石が多数確認出来ます。

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膀胱から結石を取り出しているところです。

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取り出した結石の一部です。

神経、筋肉、骨の病気

レッグペルテス病(大腿骨頭の虚血性壊死〔ダイタイコットウノキョケツセイエシ〕)

レッグペルテス病のワンちゃんの治療報告です。

7ヶ月のトイプードルの女の子が左後ろ足を時々痛がるとの事で来院されました。身体検査で左股関節を痛がる様子が確認された為、レントゲン検査を実施した所、左大腿骨頭の形が右と比べていびつになっているのが確認されました。痛み止めでは完全に疼痛が消失しなかった事とレントゲン像からレッグペルテス病が疑わしいと判断し、1月後に左大腿骨頭切除の手術を実施しました。手術後しばらくの間、自宅でのリハビリを頑張って頂き、手術から約1年が経過した時点でほとんど違和感無く歩行が出来るまで回復し元気に過ごしています。

レッグペルテス病はこのワンちゃんの様に1歳以下の小型犬に多く認められる病気で、大腿骨頭への栄養血管が損傷を受け、栄養が不足または停止する事で徐々に骨頭が壊死を起こす病気です。詳しい原因についてはまだよく解っていません。治療は手術で病気になった骨頭の切除を行う事が一番望ましいとされています。骨頭は無くなりますが、周辺の筋肉などにより偽関節(ギカンセツ)が形成され、痛みも無くなり正常な歩行が出来るようになります。手術後にはリハビリが大切で、完全に回復するまでには2ヶ月から約1年近くかかる子まで様々です。

この病気は最初、軽い痛みしか症状がありませんが、進行すると徐々に肢を使用しなくなっていきます。内科では治療が難しいので出来るだけ早くに病気を発見し、手術する事をする事が大切になってきます。若いワンちゃんで後ろ足を痛がる、歩き方がおかしいなどありましたら一度当院まで連絡頂きたいと思います。

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手術前の股関節のレントゲン写真です。左大腿骨頭の形が反対側の骨頭と比べて綺麗な形では無くなっています(黄色の矢印)。

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大腿骨頭切除手術後のレントゲン写真です。病気になっていた左大腿骨頭が切り取られ無くなっています(黄色の矢印)。

その他の病気

会陰ヘルニア〔エインヘルニア〕

会陰へルニア(エインヘルニア)のわんちゃんの治療報告です。

11歳のマルチーズの去勢していない男の子が、力んでも便が出ないとのことで来院されました。肛門周囲を見ると肛門の右側が膨らんでいました。中身を確認すると硬く固まった便がたまっていました。これらのことから会陰(エイン:左右の太ももとお尻の間)ヘルニア(本来あるべき部位から飛び出た状態)と診断しました。
現在は手術により問題なく便が出るようになり、元気に過ごしています。

会陰ヘルニアは中~高齢で去勢をしていない男の子で、小型犬または中型犬に多い病気です。直腸を支える筋肉が薄くなることで空間ができ、脂肪や直腸などのお腹の中の組織や器官がその空間に脱出します。そのため直腸内の便を正常に排出することができず、便が貯まってしまうので、肛門の横の部分が異常に膨らみます。

会陰ヘルニアは若いうちに去勢手術をすることである程度防ぐことができます。そのため、予防または再発を防止するために去勢手術をしておく事をお勧めします。また去勢することで、前立腺や精巣の病気などホルモンに関連する病気を予防する事ができます。

会陰ヘルニアは初めのうちは症状も軽く、浣腸や手で掻き出す事ができますが、それにより腸を傷つけ悪化していくため、早期の手術をお勧めします。手術内容は筋肉同士をを縫い付け、脱出する空間を閉じて塞ぎます。

便がでにくい、肛門の横が膨らんでいる、また去勢をお考えの場合は一度当院までご相談ください。

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正常な犬のレントゲン写真です。

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会陰ヘルニアの犬のレントゲン写真です。正常な犬と比べて、お尻のところが膨らんでいます(黄色の矢印)。

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手術前の写真です。お尻の右側が膨らんでいます。

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手術後の写真です。異常な膨らみは無くなりました。

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歯肉炎〔シニクエン〕

歯肉炎(シニクエン)のわんちゃんの治療報告です。

11歳のミニチュア・ダックスフントの女の子で、歯が汚いと歯石除去を希望されました。

全身麻酔をかけて口腔内をしっかりと観察してみると、歯石が重度に付着していて、歯石と接している歯茎が赤く腫れて、歯肉炎を起こしていました。その歯石を除去して観察すると、歯根部(本来歯茎の中に隠れている歯の根っこの部分)が露出して、グラグラと動いている歯もありました。この子の場合は抜く程ではなかったので、抜歯はしませんでした。
現在は口臭も以前ほど気にはならない様子で、元気に過ごしてくれています。

歯石が付着していると、口の臭いがきつくなったり、ヨダレがでたり、口の中が痛くてご飯が食べられなくなる子もいます。わんちゃんだけでなくねこちゃんにも同じ症状が現れます。

さらに症状が重くなる事もあります。歯石の細菌が歯根に侵入して、膿瘍(膿が溜まる状態)を形成して顔が腫れたり、皮膚を突き破って排膿する事もあります。また細菌が血管の中に入り込むと全身に細菌がまわったり、心臓の弁に細菌が付着することで血の塊を作り、それが遠くの血管で詰まったりする可能性もあります。以上の様な危険性があるので、歯石をそのまま放置する事はよくないことです。

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処置前です。歯石が付着しています。

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処置後です。歯石が取り除かれました。

歯石除去した後はとてもきれいですが、わんちゃんの場合は3~5日で歯垢が石灰化して歯石になるので、3日に1度は歯ブラシ等でケアしてあげる必要があります。当院でも歯のケア用品は多数扱っておりますので、ご来院の際は手にとってご覧ください。

また、付いてしまった歯石に関しては歯石除去が有効です。処置には全身麻酔が必要なので躊躇してしまう方が多いとは思いますが、麻酔をかけずに処置を行うとわんちゃんねこちゃんは嫌がり、動いてしまって十分なケアができないばかりか、恐怖心や痛みでその後の最も大切なデンタルホームケアが困難になってしまいます。
処置前の検査を受けて頂き麻酔をかけられる状態と判断されたら、全身麻酔をかけて恐怖心や痛みを感じず安全に、しかも確実な処置を行う事が出来ます。

お口の臭いが気になる場合やご飯の食べ方がおかしいなどお口のトラブルが気になった時はぜひ相談にお越し下さい。